| 5601 | 札幌の幅広き道に在りし日の啄木需めし焼き玉蜀黍 | 弁慶 | 4月5日 09時22分 | 
| 5602 | 連れ立ちて光りの中を昼休み北の大路は春遠からじ | 蘇生 | 4月5日 09時54分 | 
| 5603 | ひととせの見納めと見し花の径ゆくりなくよれば花は雲めく | しゅう | 4月6日 10時30分 | 
| 5604 | 春更けてうつろふ日々に山々のかもす色香は類なきもの | 蘇生 | 4月6日 15時54分 | 
| 5605 | 春の山を山笑うなど我にはみどり児の泣く声の湧きくる | しゅう | 4月6日 21時51分 | 
| 5606 | 見渡せば三方の山に桜咲き遠く遥かに見ゆる島かげ | 弁慶 | 4月6日 22時00分 | 
| 5607 | 島影の遠き浜辺で幼子が手に持つパンを鳶が襲いし | 蘇生 | 4月7日 07時26分 | 
| 5608 | 時死すかに三浦半島のキャベツ畑鳶現れて輪を描き消ゆる | しゅう | 4月7日 11時27分 | 
| 5609 | 山がつの身なれど今は居住まひを正して恋の想ひ告げなむ | 冬扇 | 4月7日 16時56分 | 
| 5610 | 鶏が鳴く吾妻の国の真間の村手古奈の恋は悲しかりけり | 弁慶 | 4月8日 00時17分 | 
| 5611 | 更科の矢切に立ちて偲ぶれば真間の手児名の伝え悲しも | 蘇生 | 4月8日 08時09分 | 
| 5612 | 青春の我が恋思い出だすとき夜汽車が軋む骨の中から | しゅう | 4月8日 22時15分 | 
| 5613 | 北へ行く夜更けの汽車が止りたる小さな駅よ「夜ノ森」の駅 | 詠人知らず | 4月9日 02時11分 | 
| 5614 | ふるさとへ向かふ心の高鳴りをゆるり軋らす単線二輌 | 寂 | 4月10日 08時21分 | 
| 5615 | 窓あけて駅弁頼むと思いしが「かねがさき」の駅の名とどろく | 弁慶 | 4月10日 20時59分 | 
| 5616 | 東京へ帰れる日あり窓開けて母と笑へり煤煙の顔 | 海月 | 4月10日 21時08分 | 
| 5617 | ふるさとへ行く列車かも夜の汽笛聞きつつ児らを寝かす社宅に | しゅう | 4月10日 21時49分 | 
| 5618 | 空はいま何色なのだ晴れなのか土砂降りなのか日本は晴れだ | 海月 | 4月11日 09時23分 | 
| 5619 | ははそぎの芽吹き初めし里山に白く散る散る山桜かな | 弁明 | 4月11日 18時43分 | 
| 5620 | しづかにて四方から花がとめどなく地をもわれをもおほふばかりに | 蘇生 | 4月12日 05時13分 | 
| 5621 | 散る花のしろき骨片と見えしらしライ療養所の歌にありけり | しゅう | 4月12日 06時44分 | 
| 5622 | 地を染めし花びら白き布の如し桜の下に埋ましものは | 蘇生 | 4月12日 09時55分 | 
| 5623 | 里山を遠く見るとき山桜あそこにここに目が探しをリ | しゅう | 4月12日 21時40分 | 
| 5624 | 橋姫の裳裾をひたす宇治川に山桜散る風なき日かな | 弁慶 | 4月13日 08時38分 | 
| 5625 | 山並みは霞か雲かふじざくら彼岸の人を訪いし道行 | 寂 | 4月13日 09時33分 | 
| 5626 | 梅盛り相合駕籠の道行けば新口村に雪の降りつつ | 冬扇 | 4月13日 11時33分 | 
| 5627 | 降る雪に紛ひし白き花びらの間を白き蝶が舞ひ立つ | 蘇生 | 4月13日 14時33分 | 
| 5628 | こでまりの花咲く細き野辺の道まぶた閉じれば母の面影 | 弁慶 | 4月13日 21時15分 | 
| 5629 | カラタチは思い出の花白花の小さき垣根に二つ三つ見ゆ | しゅう | 4月14日 06時53分 | 
| 5630 | カラタチの垣根潜りて逢いし人黒き鬢にも白きもの見ゆ | 弁慶 | 4月14日 07時58分 | 
| 5631 | 廃屋になりて久しき生垣の貝塚息吹盛んなるかな | 蘇生 | 4月16日 09時51分 | 
| 5632 | 廃屋と見えしが業者の手が入りて若き夫婦住むランドクルーザー | しゅう | 4月17日 07時20分 | 
| 5633 | 廃屋の点々とする山村に今年も新緑湧くがごとくに | 弁慶 | 4月17日 23時41分 | 
| 5634 | 育ち過ぐ貝塚伊吹刈込みる春日点々ねこの墓にも | 海月 | 4月18日 09時30分 | 
| 5635 | 建立の赤文字すでにかすれ来し墓の草抜く春の陽だまり | 蘇生 | 4月20日 07時12分 | 
| 5636 | リューマチの病の重き友縁の陽だまりに座して土筆愛しむ | しゅう | 4月21日 06時40分 | 
| 5637 | にいさまの癒え始めたるそのお声抱きて辞せば春の満月 | 寂 | 4月22日 00時03分 | 
| 5638 | 大潮の春の干潟を喩ふればもろ肌脱ぎし女人の如し | 蘇生 | 4月23日 14時23分 | 
| 5639 | 晩春の池面は黒く蠢きておたまじゃくしの王国と成す | しゅう | 4月24日 21時53分 | 
| 5640 | 黒々と上目使いに影をみて散りて集きぬおたまじゃくしは | 蘇生 | 4月25日 09時39分 | 
| 5641 | 心あらば今をながめよと詠ひける心敬偲ぶ伊勢原の里 | 真奈 | 4月26日 11時27分 | 
| 5642 | つらね歌詠むはワグナー聴くに似て此岸彼岸とめくるめくなり | ぽぽな | 4月27日 05時44分 | 
| 5643 | 巨きもののたうつ如く吹き抜ける春の嵐は浅緑色ぞ | 蘇生 | 4月28日 05時14分 | 
| 5644 | 裏山に鳴く鶯の声いつか深みを帯びて春惜しむらん | 海斗 | 4月29日 13時29分 | 
| 5645 | 刺繍糸生地にのせ色を合わせぬうぐいすのつやつや啼くを聞きつつ | しゅう | 4月29日 21時44分 | 
| 5646 | 紅梅の葉先のすでに緑にもかすかな紅が色に残りて | 蘇生 | 4月30日 08時07分 | 
| 5647 | すきとほる緑のなかにきらめける命あるらし柿若葉萌ゆ | 海斗 | 5月1日 10時35分 | 
| 5648 | 見晴るかす高みにたてば方々の畑打ち見ゆる河岸段丘 | 蘇生 | 5月4日 19時42分 | 
| 5649 | 茶摘女となりて祖母居て母と居て昨日のごときかの日かの丘 | 寂 | 5月5日 01時21分 | 
| 5650 | 晴れだから肩肘張つたタロがゆく紫雲英咲く丘タロがゆくゆく | 海月 | 5月8日 11時38分 | 
| 5651 | 春を訪うバスは盛りの里を経てやがて春めく九十九折へと | 蘇生 | 5月8日 19時33分 | 
| 5652 | つれなきを知りつつ今日も言問へば墨田の川の都鳥かな | 冬扇 | 5月10日 15時34分 | 
| 5653 | 道昏れしライの人寄る身延山深敬園を訪えば急く瀬音 | しゅう | 5月11日 05時29分 | 
| 5654 | 我が妻のふるさと身延の山の中共に登りし女坂かな | 弁慶 | 5月11日 13時34分 | 
| 5655 | 高みへは二つの道のいづれかと問はれゆるりとをんな坂ゆく | 蘇生 | 5月12日 08時54分 | 
| 5656 | 忠孝の狭間に死にし逆縁の子を偲び泣く哀れ相国 | 冬扇 | 5月12日 15時13分 | 
| 5657 | 大義なる言葉あまた飛び交いて知らず知らずに朱子学の道 | 弁慶 | 5月12日 19時46分 | 
| 5658 | 葉隠れにさくらんぼの色付く或る日あまた鳥群れ爆竹のごとく | しゅう | 5月13日 21時17分 | 
| 5659 | 小手鞠の盛りて風にふれ落ちぬ白き花びら米粒に似て | 蘇生 | 5月14日 08時18分 | 
| 5660 | 一枚の純真として水芭蕉水の脈きく耳を澄まして | ぽぽな | 5月16日 00時07分 | 
| 5661 | 白白と水芭蕉咲く辺には木々の新芽が淡く点れり | 蘇生 | 5月16日 06時41分 | 
| 5662 | 楠青葉風吹き渡る鞠子宿宗長縁の柴屋寺を訪う | 弁慶 | 5月16日 08時18分 | 
| 5663 | 借景の鞠子の富士は花霞宗長月見の柴屋の石 | 真奈 | 5月16日 09時09分 | 
| 5664 | 丸子なる鞠子の宿は惜春の菜の花散りて青梅たわわに | 蘇生 | 5月16日 18時32分 | 
| 5665 | とろろ汁鞠子の宿の西隣昔男の蔦の細道 | 弁慶 | 5月16日 20時05分 | 
| 5666 | まわり道父につれられ鞠子宿遥か反照遥か駿河よ | 寂 | 5月16日 22時51分 | 
| 5667 | 藁科や枕草子の木枯しの森ぞ今こそ青若葉して | 弁慶 | 5月17日 05時07分 | 
| 5668 | 枝垂れ咲く藤の花よりあてなるは苺食ひをる美しき稚児 | 冬扇 | 5月17日 14時05分 | 
| 5669 | 新しきランドセル背に睦み合う次代の子らに幸多かれと | 蘇生 | 5月17日 18時52分 | 
| 5670 | 杜若たあまたさぶらいたまいける勅願の寺の池の汀に | 弁慶 | 5月18日 08時08分 | 
| 5671 | しなやかなから衣なる京菓子に出づる思ひは杜若かな | 蘇生 | 5月20日 09時18分 | 
| 5672 | 杜若姉の忌なれば酒すこし仇な客気の懐かしきかな | 真奈 | 5月20日 10時15分 | 
| 5673 | 杜若きつつなれにしジーパンの綻び繕う妻にしあるかな | 弁慶 | 5月22日 13時17分 | 
| 5674 | Tシャツによれたジーパン スニーカの輝くような若き一団 | 蘇生 | 5月28日 14時53分 | 
| 5675 | 眩しすぎる五月の並木 吾とともに住むか住まぬか迷へる母に | たまこ | 5月28日 19時34分 | 
| 5676 | 原宿の欅並木は緩やかな坂なしており青山への道 | 弁慶 | 5月29日 01時09分 | 
| 5677 | イラクにて散りし男の青山の勇ましきこと哀しきことよ | 蘇生 | 5月29日 11時12分 | 
| 5678 | 人間に青山在りと人の云ふ雨が撃つだけ砂になるだけ | 海月 | 5月29日 21時50分 | 
| 5679 | 目覚めよきひんやりとした東雲の今はぬくもり雨が匂ひて | 蘇生 | 5月30日 06時11分 | 
| 5680 | 葭切りの声せわしくも花水の流れゆるやか虹ヶ浜へと | 詠人知らず | 5月30日 12時15分 | 
| 5681 | 小磯なる鴫立つ沢を過ぎゆけば一号線は松並木道 | 蘇生 | 6月1日 07時30分 | 
| 5682 | 西行の通り歩みし野辺の細道を鎌倉古道と今人は呼ぶ | 弁慶 | 6月1日 10時31分 | 
| 5683 | 行き先は斑猫まかせ草いきれの青き香のたつ細道を行く | たまこ | 6月1日 16時33分 | 
| 5684 | 旧道の軒をかすめる細道を主に牽かれし犬はとりどり | 蘇生 | 6月1日 18時52分 | 
| 5685 | 古えの歌びと歩みし細き道つゆにぬれつつ三嶋宿へと | 弁慶 | 6月2日 21時42分 | 
| 5686 | 恋ひそめて恋の意味をも知らで泣くさなる乙女の日々もありけり | 冬扇 | 6月4日 10時47分 | 
| 5687 | 「短時間でも会いたいです」と書いてゐる林檎ほのかににほへる卓に | たまこ | 6月5日 06時54分 | 
| 5689 | 十代は風月堂今は喫茶室滝沢新宿駅中央口 | しゅう | 6月5日 18時04分 | 
| 5690 | ウィンナコーヒーですねあなたのお気に入り蛍の野辺の夜を話そう | 海斗 | 6月6日 21時09分 | 
| 5691 | 風月の朝コーヒーに昼りんご日活名画座バルドーの夏 | 海月 | 6月6日 21時45分 | 
| 5692 | 新宿の伊勢丹会館安芸路なる瀬戸内産の牡蠣の美味しき | 詠人知らず | 6月6日 23時05分 | 
| 5693 | 生牡蠣に地の酒あれば瀬戸内も北のどこぞも無双なりけり | 蘇生 | 6月7日 07時34分 | 
| 5694 | 暫くは梅雨鱧召せよ我が友よ時の至れば地の酒と牡蠣 | 弁慶 | 6月7日 22時41分 | 
| 5695 | 真っ白き鱧に紅なる梅肉をけだし今年の梅雨も来にけり | 蘇生 | 6月9日 07時07分 | 
| 5696 | 「真っ白き鱧に紅なる梅肉」の言の葉だけで我は満足 | 弁慶 | 6月9日 23時40分 | 
| 5697 | 大皿にそぎ並べたる薄造り夏のおこぜは無双なりけり | 蘇生 | 6月10日 06時25分 | 
| 5698 | 風貌は醜くくあれど唐揚げの美味しを知れば虎魚いとしき | 弁慶 | 6月11日 03時13分 | 
| 5699 | いにしへは海の魚なり陸封魚岩魚は遠き潮鳴りを恋ふ | たまこ | 6月11日 22時57分 | 
| 5700 | 我が友の頻りに恋うは松青き紅き蹴出しの塩屋の岬 | 弁慶 | 6月12日 00時11分 |