1501 > 春風の中に去年の制服の少し恥らうほどの幼さ (萌) (2月27日 23時20分) 1502 > 夢十夜君を恋ひをる百年の後の白百合風に揺らるる (素蘭) (2月28日 00時19分) 1503 > しあわせになれただろうか百年の眠りを王子に覚まされし姫 (たまこ) (2月28日 10時05分) 1504 > びょうびょうとそれと覚しき春疾風生きとし生きるものや目覚めむ (重陽) (2月28日 10時36分) 1505 > 二月尽 雨が芝生をノックして蛇や蛙に春をしらせる (たまこ)(2月28日 10時49分) 1506 > 雨も尽き 底力尽き やるせなく ほったらかすの 白梅の精 (耽空) (2月28日 11時00分) 1507 > 三月はライオンのやうに来ると言ふ木の芽花の芽の精を従へ (たまこ) (2月28日 11時24分) 1508 > 春雨に蔓薔薇枝を伸ばしたり弥生の空を絡めとらむと (素蘭) (2月28日 23時58分) 1509 > 明け方のひととき強き春の雨花粉のとばぬことのうれしき (重陽) (3月1日 06時23分) 1510 > 嘴を花粉によごしし鳥を迎へ夕べの巣箱は明るむごとし (たまこ) (3月1日 09時36分) 1511 > けならべて春かたまけし雀らのさわく夕べとなりにけるかも (堂島屋) (3月1日 22時56分) 1512 > 繁殖の春を迎えし百鳥はサンクチュアリに囀りやまぬ (素蘭) (3月2日 01時36分) 1513 > 潮溜まり磯広々と春潮の小網をかざし子ら戯むれり (重陽) (3月2日 06時03分) 1514 > 返す波も寄せくる波もそれはそれ渚のやうなわたしでゐたい (たまこ) (3月2日 08時55分) 1515 > 戯れに石を投げたり残照の海に向かひてひとりしあれば (素蘭) (3月3日 00時56分) 1516 > さざ波の白く広がる朝浜ににまごうばかりに立春の雪 (重陽) (3月3日 05時37分) 1517 > 風薫る五月の森に降る雪か なんじゃもんじゃの花の白けさ (素蘭) (3月3日 11時50分) 1518 > しらじらの虚言の多き国長に衆の心は春を待つのみ (重陽) (3月3日 18時40分) 1519 > 美徳説く人の言葉を空言と聞きたることの空しくあれば (素蘭) (3月4日 01時51分) 1520 > 吹く風の鳴りくぐもりし春雷の遠くにゆきて鳶の行き連る (重陽) (3月4日 12時46分) 1521 > 春雷のはつか聞こゆる遠空に円を描きて鳶鳴きわたる (素蘭) (3月4日 14時06分) 1522 > ガラス窓をかすかに震はす遠雷よもつと激しくもつと激しく (たまこ) (3月4日 19時44分) 1523 > 春雷を遠く聞くよう見覚えのある筆跡は羨(とも)しくも見え (しゅう) (3月4日 21時36分) 1524 > 三井寺の鐘の音わたる鳰の湖(うみ)藍と茜に満ちてともしき (素蘭) (3月5日 00時58分) 1525 > 睡蓮のいまだ目覚めぬほとりにて猛きもののふ思ふはやわが (重陽)鶴岡八幡・源平池 (3月5日 08時00分) 1526 > 重陽さんの門に帰るとかの守宮も目覚めてをらむ今日は啓蟄 (たまこ) (3月5日 12時50分) 1527 > 待ちわびし門の守宮の目覚めらむ出でよ出でよと仰ぎみる夜半 (重陽) (3月5日 14時03分) 1528 > 地のうちに眠る虫どもはや出でよ光は春となりて久しき (登美子) (3月5日 16時31分) 1529 > はえば立て笑いて泣けば可愛いと欲しきものなど欲しきものなど (重陽) (3月5日 19時50分) 1530 > 金と朱の看板のした逃げまどふ霰たばしる南京街を (堂島屋) (3月5日 21時41分) 1531 > 激戦の地の壕中にありてなほ人は悲しき歌詠みつげり (素蘭) (3月6日 01時02分) 1532 > 貧にたへ懊悩しつつ貧にゐて佐藤佐太郎歌詠みつげり (重陽) (3月6日 05時53分) 1533 > わがいのち生きゆく証つたなくも歌詠みつがん心みつめて (登美子) (3月6日 06時33分) 1534 > 戯れと言へどふるふる息込めてシャボン玉なるわたくしの歌 (たまこ) (3月6日 09時52分) 1535 > 折々の心にふるる生業の息つきなるか同胞の歌 (重陽) (3月6日 10時34分) 1536 > くるくると人に惑いし濁流の上澄み掬う我が歌であり (しゅう) (3月6日 10時38分) 1537 > 清濁を合はせ飲まねば生き難しと教へし教師早く逝きにき (たまこ) (3月6日 11時47分) 1538 > 濁流にわが竿さしつ現世の清き澪へと虚心にゆかむ (重陽) (3月6日 13時54分) 1539 > 清やかな灯ともるごとし友よりの土佐文旦は寒の厨に (たまこ) (3月6日 20時52分) 1540 > 血縁の幸せ薄き別れ霜いまからここから真白いページ (しゅう) (3月6日 21時22分) 1541 > 隅田川母の思ひはいやまさり涙雨降る梅若の寺 (素蘭) (3月7日 00時11分) 1542 > 春や春除隊の父のゲートルを汚せし泥に思うはあの春 (重陽)増殖をよみて (3月7日 05時41分) 1543 > うつし世に相見しことのなき父が胸に消えぬは血の縁とか (登美子) (3月7日 05時41分) 1544 > 我が内に父のありけりコーヒーのスプーンで秤る朝のこのとき (絵馬) (3月7日 07時49分) 1545 > 下の子の入園のあとひとりにて飲みしコーヒーの忘れ難しも (しゅう) (3月7日 09時38分) 1546 > ゆくりなく旧友よりの電話受け語ればやまずコーヒーは冷め (堂島屋) (3月7日 12時29分) 1547 > 折々に孫や如何にと問う妻の心は吾子を思う言の葉 (重陽) (3月7日 19時14分) 1548 > 妻という人になる為君はゆくバージンロードへ思い出と共に (春秋) (3月7日 23時46分) 1549 > 恋ふ人の心はかれぬ春の夜は思ひ出胸に転がしてゐる (素蘭) (3月8日 00時53分) 1550 > この痛み忘れかけてたその思いパウダースノウと安らぐその癖 (春秋) (3月8日 00時53分) 1551 > 処女雪に埋もれもがきし青春の痛みも今は美しきもの (重陽) (3月8日 09時10分) 1552 > 一途なる青春の嘘つぽい月かふと蘇る「どん底」の歌声 (しゅう) (3月8日 10時11分) 1553 > あの時もそして今でも振り返るよりも先へと生き急ぐ春 (藍子) (3月8日 17時12分) 1554 > 「罪と罰」男の子愛しと思ひたるそのはじめなりラスコーリニコフ (登美子) (3月8日 17時20分) 1555 > 「大学生、老婆惨殺!」「エリートに潜む狂気!」と活字は躍る (堂島屋) (3月8日 18時23分) 1556 > 〈LUNATIC〉月に狂ふは人の世の習ひなりしか心あくがる (素蘭) (3月8日 20時08分) 1557 > 月からの手紙のような大らかな光を受けて歌いだす海 (萌) (3月8日 21時42分) 1558 > 秘め事のやうなる月とわれの宴言葉の海に光満ちたり (素蘭) (3月8日 23時08分) 1559 > 満るほど何かわびしき月の夜のもとなことなど思ふはやわが (重陽) (3月9日 18時34分) 1560 > ちりひとつとどめぬ望月託すべき言の葉は秘めしままとこしへに (登美子) (3月9日 18時54分) 1561 > 河津からの花の便りも冴え返るきょう望月の西行忌かな (しゅう) (3月9日 22時31分) 1562 > 裸木はうすくれなゐの羅を纏ひ桜驕りの春を待ちけり (素蘭) (3月10日 00時24分) 1563 > 春暁の未だ静けき裸木の精を湛ふはただに嬉しき (重陽) (3月10日 05時33分) 1564 > 春風邪にこもりて過ごす三日目の窓をゆらゆら行く飛行船 (たまこ) (3月10日 09時10分) 1565 > 春風邪のうつらうつらもまた楽し飛行機雲を夢に追ひつつ (素蘭) (3月10日 15時53分) 1566 > 待ちわびて風邪と花粉に襲われむとはいえ春の日永にあれば (重陽) (3月10日 16時03分) 1567 > 屋根越しに見る遠山の残雪が蒼くかげりて春の日は落つ (登美子) (3月10日 17時49分) 1568 > 紅(くれなゐ)の蕊を摘まれてうち開きカサブランカの花の蒼白 (たまこ) (3月10日 18時02分) 1569 > ある時に蘂の黄色が目にとまりそこから別の「さくらさくら」 (萌) (3月11日 00時07分) 1570 > 片栗の花むらさきにまつはりて春の女神の蝶は舞ひたり (素蘭) (3月11日 01時48分) 1571 > 明滅の絵島の灯り遠くみて鎌倉山に初音追ひきく (重陽) (3月11日 05時47分) 1572 > 生れ変はるなら鳥がいい魚がいい いいえ私は空になりたい (たまこ) (3月11日 07時20分) 1573 > なにもなきはてなき空と風にゐてしばし心の安らぎをえむ (重陽) (3月11日 08時49分) 1574 > 幼いころのいつも額に吹いてゐた風思ひつつブランコを漕ぐ (たまこ) (3月11日 10時36分) 1575 > ふらここをひとり揺らしてまぼろしのきみに逢ひなむ春の余白に (素蘭) (3月11日 12時19分) 1576 > 雪深き北国あたりか古本の余白に書かれし電話番号 (たまこ) (3月11日 14時24分) 1577 > 目の前の今は止まりし鞦韆に軽ろく手を添へぬくもりを追ふ (重陽) (3月11日 14時24分) 1578 > ふららこと春の余白を詠みをりて互いのキィは同時に打たる (重陽) (3月14日 17時40分) 1579 > まぼろしを追ってゐたやうな半生の余白に残るおもかげもあり (登美子) (3月11日 17時03分) 1580 > 春浅き夢とうつつのあはひにぞ昔の人の声聞こゆなる (堂島屋) (3月11日 19時59分) 1581 > そこに見ゆテレビの中のアジアには子どもの我とかの街ありき (藍子) (3月11日 23時56分) 1582 > 混沌と喧噪満つるパサールにアジアの民のぬくもりを知る (素蘭) (3月12日 01時06分) 1583 > 春浅き小さな街の朝市にエネルギシュな笑いざわめく (重陽) (3月12日 05時35分) 1584 > 「ちょっと姉ちゃん!一山千円!」粉雪散る輪島朝市おばちやん元気 (たまこ) (3月12日 08時01分) 1585 > 旅先のくらし顕わな朝市のトマトやきゅうり買ひてほほばる (しゅう) (3月12日 08時51分) 1586 > わが街もお日さまマーク夫のゐるモントリオールもお日さまマーク (たまこ) (3月12日 10時36分) 1587 > 同胞とモントリオール議定書の思ひただしつ未来にかけむ (重陽) (3月12日 13時26分) 1588 > 極北の気圏に生れしオーロラは無機質に光る-未来の嬰児 (絵馬) (3月12日 14時21分) 1589 > 手翳しに見はるかす海の白銀の光に満ちよ未来といふは (たまこ) (3月12日 16時17分) 1590 > 過去を見ず未来思はず刹那より刹那に跳びぬ若きいのちは (登美子) (3月12日 18時41分) 1591 > 少年の心に疼く悲しみを『15の夜』に歌ひし尾崎 (素蘭) 尾崎豊『十七歳の地図』から (3月13日 01時01分) 1592 > 揺れやすく傷付きやすく撥ねやすく小枝のやうなわれの少年 (たまこ) (3月13日 06時14分) 1593 > あっかるくぶっきらぼーにひょうきんに振舞う青き疼く心根 (重陽) (3月13日 08時15分) 1594 > 十六の子といさかひし日は大皿にいちご盛り上げ一人で食べる (たまこ) (3月13日 11時27分) 1595 > 十七歳の自意識地獄ことばてふ鍵もてわれは逃れたりけり (堂島屋) (3月13日 18時52分) 1596 > パンドラの匣をいだきし旅なれば希望とふ名の歌詠みつげり (素蘭) (3月13日 19時52分) 1597 > 朝なさなとく生業を詠みつぎて日暮に明日を思ふやはわが (重陽) (3月13日 20時11分) 1598 > 今日の日を過去となすべく夕空は蒼ひと色に澄みわたりゆく (登美子) (3月14日 08時17分) 1599 >ちちのみの父の朝あさ歌ひゐし「光の国から来る」朝がくる (たまこ) (3月14日 08時31分) 1600 > バーミヤン微塵となりし石仏よ明治日本も廃仏をしき (堂島屋) (3月14日 12時06分) |